さあ、旅にでかけましょうか
キノコの女王キヌガサタケ

こんにちは、てくてくです。

今年も雨の多い梅雨になっていますが皆様いかがお過ごしでしょうか。

だんだんスコールの様な強い雨の降り方と、予想のつかない雨量になってきました。
天も地も穏やかに整って欲しいものです。

以前に衣笠茸のざっくりレシピ、衣笠茸の干し貝柱ジュレ?を少し書いていましたが、今回は何とか観察(?)をする事が出来たので、お付き合い下さると嬉しいです。

また、アカダマキヌガサタケのお話しも出来ればと思っています。

衣笠茸の観察

昨年は料理をして食べてみたが、結局生えているところを見る事が出来ずじまい。
今年こそはと足を運んでいたのだが…。

今にも生まれそうな卵が一つ。

比較の為の一円玉を見てもらえば何となく解って頂けるかと思うが、意外に大きい。
丁度鶏の卵L寸くらいはあるだろう。
昨年収穫して貰って食べた衣笠茸も大きかったので、今回は生えている所を見てみたい。

これが7月15日の午前の事。

近頃は酷いことをする人が多すぎる気がする

ちなみに昼から、明日の朝に展開しているはずなので、様子を見に訪れた。

人目につかない、かなり奥まった場所にあるのだが、一体誰がやったのか見事に蹴飛ばしてある。

おかげで(?)太い根状菌糸束が見えていた。

一年越しだった為、かなりの落胆。
底が茹でた卵の殻を剝いた空気穴(?)のヘコミの様で「卵もいらないや」くらいの気分。

仕方がないので、触らない様に元あった様に戻して、その場を後にした。

頑張ってくれた卵

すっかり諦めて昼前に様子を見に。
なかなかタイミングを合わせるのも難しい訳で…。

そこで二度見をする。

むっちゃ綺麗に生えていますやん。

思わず関西弁丸出しになる。

あんなに酷い状態になったのに、凛とした佇まいだ。
先にばらしてしまうと、これが後にも先にも一番綺麗な個体だったのだが、他にも幾つか見る事が出来た。

レースの裾の部分の整いかたと足元まで覆い隠す長さ、たっぷりとしたドレープ。
昨年食べた衣笠茸もこのくらいだったのかも。

更に別角度から。

今年は食べずに、秋または来年の為に残しておこう。

二つ目の衣笠茸

二日後の朝、少し時間がとれたので、ひよっこり覗きに行ってみた。

生えてる。
そんな所に卵有ったかなぁ…?

比較の為に一円玉を置いてみるが、何か解りやすい物が有ればいいのだけれど。

大きめのグレバに、肩の張ったレース。
菌網(きんもう)と言うらしい。

午後になると終わってしまうのだが、これは綺麗でよくもったほう。
オリーブグリーンの、胞子が混ざった粘液が殆ど無くなって基本体の素地の黄色が見えている。

終わりかけの三つ目

さすがに昼からでは、かなりくたびれた感が否めない。

それにしても、液化した胞子は何処へ行ったのだろう。
すっかり無くなっている。
確かに色々な虫は見かけるが、これだけ綺麗に食べられてしまったら元も子もない様な…。

ハリを失くしたレースだが、見ようによれば夏物の着物の柄で見る網干(あぼし)の様だ。
ちょっと風流。

四つ目の衣笠茸

朝早くに行ってみたのだが、展開し終わっている。

意外に真っ直ぐ生えるものは少ないのかも。

昼過ぎに見に行くと、何故か立っている。

知り合いが気の毒に思い棒を使って立てておいてくれたのだが、少しびっくりした。

せっかくなので、上からの様子。

しっかり立ちすぎて、あくる日頭が落ちていた。

なんちゃって料理の所には包丁で切った柄の断面を載せているが、中が空洞なのがよく解る。

落ちたグレバ。

更にあくる日の干からびた様子。

少しだけタイムラプスの五つ目

卵が割れて、基本体(グレバ)の頭頂が覗いている。
7月31日の朝7時すぎのことだ。

ここ暫く観察していて思うのだが、割れていたからと言ってすぐに展開するとは限らないようだ。

この個体も、あくる日の早朝に伸びていた。

柄(托?)が伸び、レースが広がり始めていたので、不慣れなタイムラプスに挑戦してみました。

結局最後まで綺麗に広がらなかったのは残念だが、何となくの雰囲気が伝わっていれば有難い。
皺くちゃの所が意外に可愛いサーモンピンクで、ブリーンと引っ張って延ばしてみたいが、ボロボロにしてしまうのが目に見えているのでグッと我慢。

同日の夕方。

本当、あっという間に終わってしまいます。

更に次の日。
大体発生日の逆算の目安になるといいのだが。

今季最後に見た六つ目

8月5日の朝10時頃。

小さくはないのだが、縦に細長い。
更にグレバがオリーブグリーンではない。

雨も降っていなかったので、流れたと言う訳ではあるまい。
因みに例の悪臭(ウンコと言うより、果物等が腐ったツンと酸味のある臭い?)は健在で、今日は蜂が沢山来ている。

まさか全部食べてしまったのか?
盛んに口吻を延ばしているが、湿っている様にも見えない。

そう言えば、三つ目の網干の様な個体も同じ様に素地の黄色が出ていたような…。

胞子はほぼ無色というのなら、何がオリーブグリーンなのだろう。
卵から出て柄が伸びているうちは乾いているのか、薄めの白っぽい暗緑色だが、レースが広がる頃には自己消化が始まるのか濡れて黒っぽくなる。
伸長中に既に臭いはしているので、数種の虫はゴソゴソしている訳で…。

今回同時に赤玉衣笠茸を観察しているので、来ている虫についても書いてみよう。
大した画像と内容ではないのだが、ご存知の方、教えて頂ければ幸いです。

虫嫌いの方には苦手かもしれないけれど。衣笠茸の仲間に来る虫達

同日の夕方。

この頃にはもう蜂の姿は無く、臭いもあまりしない。
人間が食べる柄とレースが残っていた。

調べてみたら

担子菌門・菌蕈亜門(ハラタケ亜門)・真正担子菌綱・スッポンタケ目・スッポンタケ科・キヌガサタケ属・キヌガサタケ。
学名 Phallus indusiatus Vent.

子実体の伸長が非常に速いことで有名。
混同されていた赤玉衣笠茸が2007年に分けられたそうだ。
日本では他に菌網が短いマクキヌガサタケ、菌網の黄色いウスキキヌガサタケがある。

今回衣笠茸と赤玉衣笠茸を観察する事が出来たが、機会があれば他の二種も見てみたい。

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山背の消えゆく記憶をたどる会

京都府南部、山城地方を歩いています。ものすごい速さで失われていく沢山のものごと。一枚の写真、ほんの一文でも、いつか誰かの役に立ちます様に。

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